[ 『季刊 武術』掲載記事インデックス 2001年冬号 ]
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【第一部】取材班、神秘のベールに挑戦す!!

超保守的秘密主義! 戴氏伝人の壁を突破せよ!
実のところ本誌取材班は1992年11月に、この内家拳のルーツと目される戴氏心意拳を求めて山西省祁県を訪ねている。今からちょうど8年前だ。現取材班が旧取材班である本誌前編集長の生島裕氏にこの当時の様子を聞くと「なにしろ閉鎖的で秘密主義というか、頑固というか、困ったよ」とのことであった。この当時の取材の報告は本誌93年夏号に詳しいが、「心意拳を見せてほしい」との旧取材班の要求に対して、同門の師兄弟たちが集まり数時間も会議を行い、あげくにはビデオはおろか写真も枚数制限付きでやっと見学が許されたということであった。この状況は雑誌をつくる立場としては非常に苦しいところだ。あれから8年、現取材班としては、同じ轍を踏むまいと根回しに奔走したのであった。今度こそ戴氏心意拳の秘密のベールを剥ぎ取るべく………。

Comment by K.Kitanishi
内家拳は2つに分類されていると考えられます。1つには太極拳・八卦掌・形意拳を指し、柔拳ともいいます。もう1つには一時失伝したとされる中国南方の門派があります。中国では書籍等も発売されていました。ここでは前者についての説明がなされています。外家拳内と家拳の対比というのが昔からされてきました。中国武術を分類する考え方については、こちらのエッセイ「中国武術を分類する考え方」を参照してください。


戴氏心意拳はなぜ秘密なのか?
なぜこのように戴氏心意拳は秘密主義、保守的であるのか? 理由は次の二つが考えられる。
1 威力が大きく、殺傷力が高い。 2 その方法がシンプルで簡単。
これらの理由が武術が体育スポーツとして発展する一方で、いまだに秘密閉鎖主義である原因であろうと推測される。現代格闘スポーツでは早くからその技術を公開し、交流することで技術の完成を図り、多くの名人達人(チャンピオン)を輩出し、いまなお進化し続けている。しかし戴氏心意拳では、秘密閉鎖主義のまま情け容赦なく厳格に伝人を選び今日に伝承されている。これは技術の完成を意味するのか? であるならば是非ともその内容を知りたい! というのが人情である。しかし伝統武術は奥が深く、その真伝はデリケートなものであると聞く。あせって入り口を間違えては一生を無駄にしかねない。取材班は慎重に接近を図った。

Comment by K.Kitanishi
こちらのエッセイ「心意の保守性」を参照してください。



閘勢二路/一馬三箭・独特の歩法にのせて一気に飛び出しながら蓄発を繰り返し三打撃つ。



招法/劈勢・“ただ打つのみ”という名人の原理を解くのが招法である。ハタからみればなぜ?
という現象でも具体的な秘訣が存在するのだ。この写真の技は高度な招法といえよう。


百戦百勝“ただ打つのみ”達人の原理
戴氏心意拳では、古来より直系の家族にのみその秘密功法を伝承し、ゆえに「戴家の人が拳法を使って人を打つのを知っているが、戴家の人が拳法を練習するのを見たことがない」といわれている。また戴家の家訓には「みだりに伝えるならば失伝させよ」ともあり、本誌旧取材班が92年に訪ねた岳健祖老師は「銭も不要、名誉も不要。体育委員会が何を命令しようと、ただ先祖の遺した家訓を守って生きる」と発言しており、その徹底ぶりがうかがわれる。
これらの言い伝えや発言は、戴氏心意拳にある“発すれば必ず勝ち、その技は百戦百勝である”という言葉の裏付けともとれる。すなわち、“発すれば必ず勝ち、その技は百戦百勝である”という言葉を戦いにおける心理的な効果を狙った単なる心構え的なものとして考えれば、どの門派にも存在するものであろう。だがしかし、発すれば必ず勝ち、百戦百勝の技が実際に具体的に存在するからこその秘密閉鎖主義であると考えれば、秘密にしたくなる気持ちもわかろうというものだ。
結論から言うと(あくまで取材班が今取材を通して得た考えであることをご了承願いたい)、戴氏心意拳は、発すれば必ず勝つ百戦百勝の技である! 取材班はこのように確信している。ただ正確にいえば、これは技ではなく原理である。技は原理から導きだされる結果に過ぎない。矛盾するようだが、勝負は結果であるから、物理的に百戦百勝などということはあり得ない。しかし、戴氏心意拳には概念的なものなどではない、発すれば必ず勝つ百戦百勝の原理とシステムが存在すると確信するのだ。

Comment by K.Kitanishi
ストレートに言えない、なんか回りくどい言い回しがありますが、戴氏心意拳に対する印象が表現されている項です。あおり文句も満載で、このような商業誌ベースの表現によって、しばしばイメージと実体とがかけ離れてしまうことが問題になります。こちらのエッセイ「商業誌ベースの心意像」を参照してください。



# xinyi : Apr 20, 2005